【小説】ミリオネア清掃員下村龍之介 ⑥


〜 この小説を入院するママ子姉に捧ぐ 〜

第6話 へちま

オレの名は下村龍之介

今、話題のミリオネア清掃員だ。ww

おいらの少年時代は波乱万丈だ。

次から次と育てる人が変わるんだ。ww

池畑慎之介が失踪して間もなくオイラは児童養護施設に入れられた。

養護施設の名は『新へちま学園』ww

オイラのように親のいない子や親から虐待されてきている子がたくさんいた。

いろんな奴がいたが、今でも連絡を取り合ってるのは一人だけだ。

その子はオレにそっくりだった。

名前は財津梅子と言った。

婆さんみたいな名前だが、オイラより年下だった。

彼女はヤクザの父親に育てられたのだが、すぐに父親が殺人の実行犯で無期懲役になっちまったようで、3歳からこの施設にいた。

彼女の口ぐせは「幸せな家庭を持つのが夢」だった。

オイラはこんな所に居ても幸せにはなれないと彼女を連れて施設を脱走した。

しかし二人とも子供だったので働く場所もなく、いつの間にか二人は離れ離れになっちまった。

そして、実は3年前に彼女に偶然会う事ができたんだ。

多分、神様が合わせてくれたんだと思う。

オイラが働く空港の企画で『へちま』という画家の個展がひらかれた。

その『へちま』は変わった画家で鬼の絵しか描かない画家であった。

そう、その『へちま』が梅子だったのだ。

オイラはびっくりした・・『へちま』なんて変な名前だなぁと思っていたが、オイラと梅子がいた養護施設が『新へちま学園』だったので、そこから取ったようだ。ww

12月27日〜1月5日までの短い個展だった。

『へちま』本人が来るのは1月1日だけで後は絵の展示・販売と自叙伝の販売のみをやっていた。

ポストカード数枚と自叙伝を事前に買って1日に会いに行こうと考えた。

仕事が2時に終わったので、コンビニでいつもの弁当とビックルを買って帰り、家で自叙伝を読もうと思った。

まず、ポストカードを見た、笑顔の鬼の顔の絵とその周りに文字が描いてあった、『数えきれないありがとう』『離れていても いつもそばにいる』と描いてあった。

そして、自叙伝を読んだ。

その自叙伝は養護施設でオイラとの出会いから始まっていた。

オイラは読んでて涙が止まらなくなった。

そして、彼女が鬼を描く理由が何となくわかったような気がした。

世の中、鬼ばかりではないか・・

いや、彼女自身が鬼にならなければ生きていけなかったんだ・・

オイラは朝まで泣きながら読み続けた・・

つづく・・はず。

コメントを残す