【小説】ミリオネア清掃員下村龍之介 ⑩


〜 この小説を狩撫麻礼先生に捧げる 〜

第十話 月光荘

オレの名は下村龍之介。

天涯孤独のミリオネア清掃員だ。

養護施設を脱走したオイラは梅子と生き別れになった後、

途方に暮れていた・・

オイラは働くアテも無く、家も無かったので毎日公園で時間を潰して過ごした。

その公園にはオレと同じように一日中ボーッとしているおっさんが一人いた。

来る日も来る日もおっさんは空の一点だけを見つめてボーッとしていた。

人の事は言えないが、人間というのはあそこまで無気力になれるんだろうか?と思えるぐらいにおっさんは力が抜けていた。

ある日、おっさんに声を掛けてみた。

「おっさん、オレもおっさんと同じホームレスだよ。」

オイラは自分には敵意が無いぞ、仲間だぞ、という雰囲気を出してワザとらしいぐらいに友好的に近づいていった。

「バカ!オレには家はあるぞ。一緒にするな!」

いきなり叱られてしまった。

その晩、そのおっさんの家について行った。

家というのは、月光荘というボロボロの木造アパートでおっさんはそのアパートの元共同便所だった所に住んでいた。

何が家はあるだ!便器のある家なんかあるかよ。と思った。

そのアパートには部屋が6つあるのにおっさんを含めて男三人しか住んでいなかった。

オイラはその日晩飯をご馳走になった。

何故か三人が一緒にメシを食っていた。

晩飯と言っても、おにぎりと味噌汁だけだったが・・ww

三人がそれぞれメシを食いながら自己紹介をした。

メガネをかけて、いい歳なのに学生服を着ている近眼の男は「木村です、」と無愛想に言った。

次に髪を後ろにくくってポニーテールにしている感じの良い青年が「オレ、久保田!よろしくな!」と感じの良い挨拶をした。

そして、その久保田が「この人は蜂須賀さん。このアパートの牢名主。」とオイラを連れてきたおっさんを紹介した。

三人の紹介が終わったので、「下村龍之介です。」と普通に挨拶をした。

すると、最長老の蜂須賀という人が、「何があったか知らないが、家が無いならこのアパートの空いている部屋に住めば良い。」と偉そうに言った。

久保田が「それいい!ここの大家は遠くの住んでて顔を出す事なんかないもんね。」と言った。

この一言でその日からオイラは月光荘の住人となった。

しかし、これからこの月光荘で起こる奇想天外、破茶滅茶な生活をこの時、龍之介は想像もしてなかった・・

つづく・・はず。

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