【小説】ミリオネア清掃員下村龍之介 16


第十六話 はちきん

オレの名は下村龍之介。

自慢じゃないがミリオネア清掃員だ。

ヒョンな事から投資顧問会社の面接を受けてみたが、見事に落ちてしまった。

そこで、すごい女子高生がいたから、今日はその子の話だ。

高知県・・

四国四県の中で一番閉鎖的な県

南を太平洋、北を四国山脈で遮られて他の三県とは断絶された土地だからか?

だから、土佐人は頑固で強い信念を持った人が多い。

土佐の代表的な人物といえば、幕末の志士、坂本龍馬、中岡慎太郎、自由民権運動の板垣退助、そして三菱財閥の祖、岩崎弥太郎、戦後の大首相、吉田茂・・

皆頑固一徹で己に強い信念を持って生まれた男たちだ。

そういう土佐の男を陰で支えているんだから土佐の女は強くなる。

強い女のことを土佐では『はちきん』という。

八つのキンタマ・・つまり4人の男を手玉に取るほど土佐の女は強いということのたとえである・・

坂本イユはそんな高知県で生まれ育った。

面接が終わって雑賀正義は考えていた。

”あの子はたかだか十七、八の小娘だというのに、相場の本質を知っている。

・・いや、これは何かの本で読んで得た知識に違いない・・

だが、そうだとしても、それを身をもって実践するのは並大抵のことではない。

50万の札束を実際に手にしたら、頭でそう考えても、その考えを実践するだけの意思の強さは普通の人間にはない。

彼女は相場師になるために生まれてきたのだろうか?”

坂本イユは雑賀経済研究所の社員となった。

実際に仕事をしてみると何のことはない電話で客に仕手銘柄を特別に教えるといい加減な嘘を言い会員にするのが仕事であった。

はっきり言って詐欺稼業であった。

イユはがっかりしていた。

たかだか、10万の会費を集めるために毎日毎日嘘をつかなければならないのは辛かった。

こんな事で相場が覚えられるのか?

しかし、この段階での坂本イユの落胆はまだまだ早かった。

なぜなら、その会員たちはいずれ会長の雑賀が仕手戦を始める時の受け皿になる運命にあるのだから・・

そして、仕手戦の受け皿になるってことは全財産失う運命にあるって事を坂本イユはこの後に任せられる大仕事で知る事になる。

その仕事とは・・?

つづく・・はず

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